VOLKL BLAZE  フォルクル ブレイズ

フォルクルから2020/21シーズンに発売されるニューシリーズのご紹介です。バックカントリーで使用する上でオールラウンド性が高く、軽量でありながら硬い斜面でのターン性能も楽しめ、あらゆるコンデションに対応しやすいBLAZE(ブレイズ)シリーズが新しく発売になります。
初めてバックカンントリー向けの板を買おうとしている方にとっては間違いのない選択肢になるでしょうし、ガイドしていてもゲストに一番持っていてほしいのはこのタイプのスキーです。一本のスキーでシーズン中のあらゆる場面を滑りたい人にもお勧めなモデルです。飛行機を利用するトリップや長期滞在してバックカントリーやゲレンデなど色々なシチュエーションが予想できるけど、スキーを何本も持っていけない時や、たくさんのスキーを所持していても場所もとるし経済的にもナンセンスと思う人にとっても、いい選択となると思います。
今まで、このカテゴリーの人気機種だった100EIGHTや90EIGHTは来季はラインナップから無くなり『後継機種ですか?』とよく聞かれますが、バックカントリー向けピュアなフリーライドとコンセプト的には同じですが、構造的には全く違い、新しい作りでかなり進化しています。
僕自身も今季はガイディングでBLAZE106を一番多く使用していたのでその辺を中心に紹介していきましょう。

来シーズンBLAZEシリーズは4機種発売されます。センター幅が106mmのBLAZE106と、センター幅が94mmのBLAZE94それぞれに女性モデルもリリースされ選択肢が増えました。
スペックは以下の通りです。

BLAZE 106
Sidecut 146-106-128
Weight 1770g (186cm)
Length (radius)  165 cm (29.1/14.0/22.9)
172 cm (32.5/15.6/25.2)
179 cm (36.2/17.2/27.7)
186 cm (40.0/19.0/30.2)

BLAZE 106 W
Sidecut 146-106-128
Weight 1570g (165cm)
Length (radius) 158 cm (26.9/13.0/21.5)
165 cm (29.1/14.4/22.9)
172 cm (32.5/15.6/25.2)

BLAZE 94
Sidecut 134-94-116
Weight 1580g (179cm)
Length (radius) 165 cm (33.1/13.8/24.6)
172 cm (37.0/15.4/27.0)
179 cm (38.0/17.0/31.5)
186 cm (44.1/18.7/33.8)

BLAZE 94 W
Sidecut 134-94-116
Weight 1440g (165cm)
Length (radius) 158 cm (30.6/12.8/23.0)
165 cm (33.1/13.8/24.6)
172 cm (37.0/15.4/27.0)

バックカントリーでの使用をメインで考えていてオールラウンドで使えるのが106の方だと思います。ハイシーズンの深いパウダーからシーズン終盤のザラメコンデションまで対応し、たまにこのスキーでゲレンデ滑っても満足できるターン性能です。
94の方はハイシーズンのパウダーコンデションではもっと浮力のある板を履いて、春のバックカントリーやゲレンデ用として2本以上のスキーを使い分けるならオススメです。

4機種共通して、
センターに薄いキャンバーがありノーズとテールに浅いロッカーがあるチップ&テールロッカー採用です。浅いフルロッカーのスキーを多くリリースしていたフォルクルですが最近はセンターにキャンバーデザインを採用するモデルが増えて来ました。僕は硬い斜面でノーズのグリップが良く、有効エッジが長くなるので、フルロッカーのスキーが気に入っていました。その為今まで散々推して来ましたが、キャンバーにはキャンバーの良さがあります(笑)。キャンバーロッカーは浅いフルロッカーに比べノーズのグリップはやや劣りますが、その分ノーズとテールをやや広めに設定してあります。そうすることによりノーズとテールのグリップ力を維持しています。しっかりとしたトーションと柔らかめのフレックスでカービング性能も文句なしです。(えっフルロッカーってカービングし易いの?嘘でしょ!って思った人は過去の記事を読んでみてください)
今回久しぶりにキャンバーロッカーのスキーを履いて満足できたのは、おそらく3Dラディウスとの相性の良さが理由じゃないかと思っています。3Dラディウスとはフォルクルがここ2シーズンほど一部のモデルで採用しているトップ、センター、テールとそれぞれの場所に異なるラディウスを持たせるサイドカットのことです。来季は新たにマントラ102などのチタナールシリーズの数モデルとリボルトシリーズの一部のモデルにも採用されています。低速ではセンター部分のタイトなラディウスがクイックなターンを容易にし、高速ではトップとテールがスムースなターン導入と仕上げを実現するとメーカーは言っています。僕は、キャンバーロッカーにありがちなノーズのグリップの弱さが3Dラディウスにより解消されているんじゃないかと思っています。そしてカービングターンの後半の板の走り、返り、と言ったキャンバースキー特有の面白さがあります。センターが絞られているので、浮力があるけど切り替えが素早くできるのも優れたターン性能を作り出す要素です。
3Dラディウスのもう一つの大きなメリットとして挙げられるのが、ノーズ付近の大きめなラディウスによりアルパインエリアのバックカントリーでよくある、風によって形成された高密度な積雪や、日射により形成されたクラストなどの引っかかり易い雪質でラディウスが小さいスキーに比べてノーズ付近が引っかかりにくくスムーズにスキーを扱い易いかなと感じています。
そして多分、僕がBLAZEを気に入った最大の理由はセンター付近に薄いチタン製のメタルが入っている事だと思います。ハイスピードで滑った時のスキーの安定感はやっぱりメタルスキーです。極薄メタルを使用することによりそこまで重くなっていません。メタルが入っていない100EIGHTよりも軽く仕上げられています。上にスペックを書き出しましたが重量も記載しました。フォルクルは今までカタログに重量は記載していませんでした。俺たちは山スキーブランドと違いスキーブランドだからってプライドを感じていましたが、BLAZEに関しては重量記載したことからメタル使ってこの軽さですよって自信が伺えます。上質なビーチとポプラから作られるウッドコア材と部分的に軽量なイソコアをハイブリットさせ同じく軽量で強いカーボンで補強してあります。
100EIGHTに比べセンター幅は2mm細いのでパウダーでの浮力は劣るかなと思うかもしれませんが僕がシーズン履いて感じたのは100EIGHTよりも浮力はあるように感じます。トップの幅が増しているのとトップのフレックスが柔らかくなっているのが理由だと思います。キャンバーロッカーを踏み込むとよりノーズが上を向くのも理由の一つでしょう。
ノーズとテールは100EIGHTより太く、センターは2mm細いシェイプになっています。センターが絞られているので、浮力があるけど切り替えが素早くできるのも優れたターン性能を作り出す要素です。

先シーズンこのスキーでたくさん良い雪を滑りましたが、僕がBLAZEを気に入ったのは2月に戸隠のゲレンデでフリー滑走をした時でした。戸隠スキー場は白馬よりやや内陸にあり、気温が低く、ハイクオリティーな圧雪斜面を提供しているため、この日も技術選前の合宿を行うスキーヤーがたくさんいました。そんなしまったバーンで基礎スキーヤーに混じってカービングターンをしていて本当によくできたスキーだなと感心しました。よく曲がるラディウスと高速域での安定感が気に入りました。雪質が変わるバックカントリーよりもスキーの純粋な性能の差が出るのはそんな斜面です。詳しく説明しているのでよかったら以前の記事も。
個人的にゲレンデではよくスイッチ(後ろ向き)で滑るので、テールのキックがやや上がっているのは嬉しいです。山で雪面にはテールがさせるけどスイッチもできる微妙な上がり方ですね。それ目的ではないけど。山の中では狭い急斜面を前に行ったり後ろに行ったりズルズルと横滑りで降りなきゃいけない場面がよくあるのでフラットテールより扱い易いです。テールの過度な引っかかりがないぶんターンしてても扱い易いです。
スキーセンターは三ヶ所マーキングしてありますが、一番後ろの推奨位置で取り付けました。このタイプのスキーは大体、推奨位置に取り付けするのであまり悩まずに決めましたが、今思えば1cm前につけてもよかったかなと思っています。意外とスイッチがしやすかったのと、今季ゲレンデでよく履いていたREVOLT104が思いっきり前にスキーセンターがあるので履き替えた時の違和感がありすぎるのが理由です。

毎回言いますが、シーズンを通してバックカントリーに行く回数がそこまで多くなくでゲレンデを滑ることが多かったり、バックカントリーでフリースタイルな滑りを目指すならもっと他にオススメはあります。滑走性能よりも軽さを求める人や、逆に軽さよりも滑走性能にだけフォーカスしたいならこの場合も他にオススメはあります。BLAZEシリーズのコンセプトとしてはバックカントリーでの使用をメインとして、軽さにこだわりながらも滑走性能を追求したモデルです。数年前まで軽さと滑走性能を天秤にかけ、どちらかを大切にし、どちらかを犠牲にするようなプロダクトが多かったので、僕は滑走性能を重視し、軽さは我慢する選択を常にして来ましたが、BLAZEに関しては、滑走性能も、軽さもどちらも満足できる素晴らしいスキーに仕上がっています。このカテゴリーのスキー開発の時代が一歩進んだことを体感できる仕上がりです。ちなみにVOLKL が使う滑走性能の良さとは、アルペンレースのW杯第一線で活躍するスキーメーカーが使う滑走性能の良さです。このBLAZEシリーズはツアー向けの軽量スキーというカテゴリーではなくバックカントリーでのフリーライドモデルというカテゴリー分けにメーカーがこだわるのも納得できるスキーです。

 

古瀬和哉