今シーズンはみなさんご存知のように記録的な雪の少ないシーズンでした。シーズン初めは降り出しの遅い年もあるので『そのうち降るでしょ。』と希望を捨てずに待っていましたが、1月になっても2月になっても普段の積雪量には追いつかず、結局そのまま終わってしまいました。ガイドしていても森林限界付近かアルパインエリアで滑ることが多くて標高1000m以下の樹林帯で滑る日が極端に少ないシーズンでした。樹林帯のお気に入りエリアの中では今季一度も滑りに行ってない斜面もたくさんありました。気温が高くてシーズンを通して山麓は雨が多く、家の周りも何回かは雪が積もるのですが、すぐに雨が降って全部溶け地面が出てくるパターンの繰り返しで、シーズン初めに設置した総積雪深を測る場所と降雪深を測る場所の数値に差がない状態でした。ハイシーズンでも田んぼが見える状態だし、スキー場によっては全コースオープン出来ないところもあったりと今まで経験したことのない雪の少なさでした。
じゃあ評判通り全然パウダーが滑れない最悪のシーズンだったのかというとそんなことはなくて、標高1500m以上はそれなりに良いコンデションで楽しめる日は多かったし、忘れられないような素晴らしい雪質も何度も味わいました。こんなシーズンこそ、自分の足で山に登りパウダーハントする意味が大きくなります。暖冬の年はアルパインエリアは当たり年です。詳しく知りたい人は過去のブログを。ここ白馬の魅力の一つにアルパインから里山までとフィールドのバリエーションの豊かさが挙げられます。低いところがダメだったら高いところで遊べばいいので、こんな時は白馬で滑っていて本当に良かったと思えるシーズンでした。決して白馬も状況が良いわけではないけど、新潟や岐阜、富山など近隣のエリアから遠征してくるガイド仲間の話を聞く限りでは他に比べればまだマシな方でした。ガイディングで苦労したのは選択肢が減ることでした。選択肢が少なくなるから、他パーティーと斜面が被りやすくなるし、荒天で高いところに行けない日に選択肢がさらに少なくなりました。降雪頻度が少なくなると斜面のリセット率も当然落ちるのでガイドとしてはさらに難しくなります。このような状況でゲストにいい斜面を滑ってもらいたい気持ちが強く出すぎてしまうと、無理をしたりそれが判断ミスを招く要因になりやすくなるので、その辺は意識しながらのシーズンを過ごしました。『こればっかりは自然相手の遊びなのでしょうがないですね〜。』とコンデションが悪かった時の定番の言い訳を多用し、難しいシーズンでしたが、その分逆に面白さというか、ガイド冥利に尽きるというか、腕の見せ所というか、これはゲストも同じだと思うけどこんな状況でもいい雪を滑ることができた日は、仕事した感がいつもより大きくなります。いつどこに行ってもいい雪を滑ることができる日よりも逆に仕事としては面白かった日も多く感じます。
コロナウィルスの影響で今年のザラメシーズンは滑れてませんが、もし滑れていたら結構条件のいい日が多い春だったんじゃないかとトラックが全くついていない異例の斜面を麓から眺めています。ハイシーズン中に雪が少なくても春にコンデションがいい日が多いと記憶的には『まあ良いシーズンだった』となるのですが今年はコロナウィルスにそれすら持って行かれた感じです。ここまで雪が少ないシーズンはもうごめんです。今シーズンは気候危機をあからさまに見せつけられて、今年の冬の状況がスタンダードにならないように本気で考え、みんなで行動していかなくてはと思いました。今後はローカスガイドサービスとしても気候危機に対する何かしらのアクションを起こしていこうと強く誓ったシーズンになりました。

古瀬和哉