各メーカーのカタログやウェブサイト、各スキー雑誌の商品インプレッション、スキーショップのスタッフとの会話の中などでオールラウンドなスキーとかオールラウンドモデルっていい方を結構します。僕も前回100EIGHTについての文章の中で「オールラウンド」を連発していて、ハッと気がついたのですが、この単語の捉え方はスキーヤーそれぞれのスタイルにより、大きく変わります。僕はスキーをあまりカテゴリー分けしたくない派なのですが、ゲレンデでしか滑らない人が使うオールラウンドって言葉と僕みたいにバックカントリーを滑りながらゲレンデも滑るスキーヤーが使うオールラウンドって言葉は全然違います。

フリースタイルスキーヤーだったらスロープスタイルもハーフパイプもストリートでも調子がいい板のことをオールラウンドなスキーと言うでしょうし、基礎スキーヤーなら大回り系と小回り系で板を分けている人もいるので、大回りも小回りも調子が良い板の事をオールラウンドなスキーと言ったりします。

スキーのスタイルによりオールラウンドの意味も違ってくるのでスキーを選ぶ際にその辺の単語の意味は注意したほうがいいかもしれませんね。しかもこの言葉はスキーを売る側の人間にとっては都合のいい言葉で、買う側の人間にとってはややこしい言葉です。

パウダーも滑り、バックカントリーも滑り、パークも滑り、コブも滑り、ゲレンデの圧雪バーンでカービングもするしレースにも出てるスキーヤー、つまりオールラウンドなスキーヤーが『これはオールラウンドな板です。』って言うのとオールラウンドでないスキーヤーが『これはオールラウンドな板です。』って言うのとだいぶ違ってきますよね。滑りやスキースタイル、好みなどを理解している相手との会話の中では伝わりやすい言葉で、僕もついつい多用する言葉ですが、今後は注意して使います。(笑)僕が使うときはバックカントリーの天然地形の天然コンデションで滑る場合はパウダーだったりクラストしてたり硬かったり、もしくは春のザラメコンデションだったりと、雪のコンデション的なオールラウンド性の場合とカービングターンだったりパウダーターンだったりジャンプしたりのスキースタイル的なオールラウンド性の場合と2通りあるのかなって思っています。ややこしいですねー。

パウダーにフォーカスしたモデルだったり、ロングルートで威力を発揮する軽量化にフォーカスしたモデルだったり、圧雪斜面でのターン性能にフォーカスしたモデルだったり、何かに特化したモデルはそのコンセプトとコンデションがマッチすれば、すごい威力を発揮します。簡単に滑れたり、驚くほどの快楽が得られたりします。今までできなかった滑りができたりもします。コンデションやフィールドによって何本かのスキーを使い分ける人や、滑りに行く時、車に何本かのスキーを積んでいける人にとっては板を使い分け、コンデションやシチュエーションにギアをマッチさせるという楽しみ方ができます。僕自身も、ゲレンデ内でパウダーを滑る時や、バックカントリーでコンデション予測に自信があるときなどは、板を使い分け楽しんでいます。まるでサーファーが、波質によってサーフボードを使い分けるような、そんな遊び方です。でもコンデションが板のコンセプトとマッチしないと大変な思いをしたり、あまり楽しめなかったり、そこまでの快楽を得られなかったりなどのリスクもあります。滑れないことはないですけどね。

一方、オールラウンドなモデルはそこまでのマッチングはなくても、外しがないのが魅力です。

特にバックカントリーでの使用は山の麓に住んでいて毎日滑っている地元の滑り手でもコンデションの予測が難しいい日があります。もしくはその日のルートに標高差があったり、長い距離を移動するルートだと前半と後半でコンデションの差があったり、1日の内でコンデションが移り変わるような時もあります。そのような日はオールラウンドなコンデションに対応できるモデルのメリットが強くなります。1セットの板でシーズンのどんなコンデションでも滑れるのは経済的にも魅力があるし、あまり多くのギアを持ち運べないトリップに出るときも重宝します。

僕の場合はそんなモデルが100EIGHTで、バックカントリーに持って行き、どんなコンデションだったとしても、違う板持ってくればよかったとチョイスミスした感じはしません。

これからバックカントリーを始める方に、お買い物のアドバイスをさせて頂く場合は、こういったオールラウンド性の高いモデルを最初に買うバックカントリー向けのモデルとして、お勧めします。ガイドとしてもまずゲストに持っていてもらいたいのは、どんな状況でも扱いやすいモデルになります。2本目以降のバックカントリー向けの板を検討されるときにアドバイスさせていただくのは、例えばもう少しコンセプトが偏ったモデルです。もっと浮力を重視したハイシーズンのディープパウダー用とか春用の軽さを重視したモデルとか。1本目の板が古くて使えなくなったから新しい板に買い換えるという感覚よりも、1本目の板と違うコンセプトの板を買い集めていくようなお買い物の仕方も面白いんじゃないかと思います。最近のスキーは、素材も製造技術も向上して数年で使えなくなるような物は少なくなってきていると思います。僕も未だに7、8年前のモデルもよく履いています。

それと最近センター幅のスペック値だけでオールラウンド性を判断する人が多いように感じますがスキーの性能はシェイプだけで決まるわけではないので、その辺もよく吟味したほうがいいと個人的には思っています。100eightよりセンター幅が細くてもゲレンデの圧雪斜面でガービングするのにターン性能がイマイチだと感じる板は沢山あります。センター幅で板を判断するのはいろんなモデルを比べやすいし、カタログ見てても解り易いので、そうなってしまうのはしょうがないんですが、滑走感の話になるとセンター幅よりもそれ以外の要素の方が大きく影響すると思っています。

もう少しするとスキー雑誌各社からカタログ号が発売されますね。僕もあれ見るの大好きなんです。ギアあっての遊びなので、来期お買い物のご予定がある人は色々と悩みながらギア選び楽しんでください。それとまた今年も6月、7月に行われるICI石井スポーツの早期予約会カスタムフェアーはマーカー、ダルベロ、フォルクルのお手伝いで全会場行きますので、遊びに来て下さい。直接アドバイスさせていただきます。

古瀬和哉