ブログ 試乗会での試乗の仕方

皆さんは板を買う時、試乗会などで試乗してから買いますか?スキーのグラフィックで決める、いわゆるジャケ買いする人もいると思いますが、多くのスキーヤーはその板を履いたことのある人の感想を参考にして乗り味を想像したり、実際に試乗会に足を運び、試乗してから購入を検討するのではないでしょうか?今回の記事はその試乗会でのアドバイスです。

僕もそんなに多くの試乗会に行くわけではないのですが、毎シーズン必ず行くのが1月に軽井沢で行われるフォルクルのスタッフ関係者及び全国の販売店様向けの試乗会と2月末にかぐらで行われるBc mapの一般のスキーヤー向けの試乗会にはフォルクルのお手伝いで出席します。

ギア好きな僕にとってはシーズンの楽しみの一つでもあります。新しいスキーをテストする時に僕は必ず、スキー場の圧雪斜面で滑ります。ゲレンデの端っこに、たまたまパウダーが残っててもあまり滑りません。滑るとしたら試乗目的ではなく完全にFUNのために滑ります。パウダーで滑る事を目的としてデザインされたファットスキーでもです。試乗会にお越しいただいたゲストの方からよく『パウダーで試してみたい』とか『パウダーだったら調子良さそう』というような感想を頂きます。ファットスキーを始めて履く人でその威力を体験したいっていうのは理解できるし、目的にあったシチュエーションでそのモデルを試したいのは誰しも思う事ですが、僕が知りたいのは、スキーの浮力よりも、ターン性能だからです。そしてそれをテストするには毎回条件が同じ(に近い)圧雪斜面が適しています。そこで高速で滑り安定感をテストしたり、低速で滑って取り回しをテストしたりします。カービングしたりずらしたり。もちろん大回りしたり小回りしたりもします。パウダーで試乗しない理由はパウダーって毎回違うからです。一定のコンデションが続かないので、1日のうちでも雪の状態は刻一刻と変化し当然板の印象も変わります。特に日本海側の豪雪地帯に降る水分量の多い雪では積雪が雪自体の重みでどんどん収縮していきます。この現象を僕らは『沈降』と呼びガイド同士の会話の中ではよく使う単語であり、沈降は雪の安定度、雪崩のメカニズムに大きな影響を与えるため注意深く観察しているのですが、、、、、、、、。話が逸れ始めましたが、要するにパウダーを滑る際に滑り心地にも大きく影響します。雪の密度が変わり試乗しているスキーのたわみ具合も浮力も当然変わります。気温が高い時ほど沈降のペースも上がります。風が吹き始めて雪面の雪が移動を始めると、また別の理由から滑り心地も変わります。最初は雪面付近の雪の密度が増えスキーの取り回しがしにくくなります。スキーの先端の抜け方が変わってきます。つまり試乗会でパウダーコンデションで試乗していて『この板最高に調子いいー。』って感じても実は板が調子いいんじゃなくて雪が調子いいだけだったりします。特にいろんな板を履き比べたいときは、なるべく同じ条件で比べたいんです。そしてある程度経験を積めば新雪での浮力は結構板の形から想像がつくけど、スキーの良し悪しって浮力だけではありません。毎回試乗する前に板を手にとって色々想像を膨らませ予想してから実際に試乗していると、だんだん履かなくても想像できるようになってきます。スキーを作っている人たちはこの辺の感覚がものすごく発達しています。

僕が履いている板のレポートをメーカーに提出するときに最初に履いたファーストインプレッションとシーズンを通して履いてみてのレポートと別々に提出します。シーズンを通していろんなパウダーを滑ってみて初めて解る事もたくさんあるからです。

試乗会では、限られた時間の中で、あまりに多くのスキーを試乗しようとすると最終的によくわかんなくなってきます。圧雪斜面でも朝一と夕方ではだいぶコンデションが変わるのと、自分も疲労するので元気もやる気も満々の時と疲れ切ってる時とでは印象も変わります。なので事前に下調べしてある程度ターゲットを絞っておくといいと思います。あと注意しないといけないのは

最近の兼用ブーツとビィンディングとのマッチングです。自分の使用しているブーツがツアー規格のソールだとアルペン規格のビィンディングが装着された試乗スキーは履けないので、お目当のモデルを試乗できないって事もあります。各メーカーやショップのスタッフは本当はダメなんですけどねって言いながら履かせてくれたりする場合もありますが、怪我に直結する事なのでよくありません。何も言わずに履かせてもらえたらそのショップなりメーカーの知識と安全基準を疑いましょう。ブーツを使い分けている人はアルペン規格のブーツを持ち込むといいでしょう。ソールが交換できる兼用ブーツの場合はアルペン規格のソールに交換して行くと試乗できる板が増えていいと思います。

他にも調整してもらった試乗スキーのスキーセンターがどの位置なのかを確認しましょう。最近のフリー系のスキーはセンター位置がいくつか設定されていて選べるものもあります。これが変わると板の印象もかなり変わるので、試乗会で気に入って実際に買ったらあれっ?てことになりかねません。試乗用のビィンディングでもトゥピースとヒールピース両方が動いて、センターが変わらないものと、ヒールピースだけ動いてセンターが毎回変わるものと2パターンあります。ビィンディングのタイプによっても印象が変わるのでセパレートタイプだったのかセンターバーがあるタイプだったとか、どんなタイプのビィンディングが試乗スキーについていたのかも覚えておき参考にすると良いと思います。

ギアを選ぶのは最近とても難しくなっていると感じる反面、自分のやりたい事とマッチすると驚くべき威力を発揮したりします。自分にあった良いギアと出会いこの遊びをさらに楽しんでください。

古瀬和哉