マニアックな雪の話です。

皆さんはどんなパウダーが好きですか?パウダーを滑り始めたばかりの頃はアイスバーンやクラストとの違いはもちろん判るんだけど、パウダーの違いが判りにくかったりあまり気にしなかったりします。そして何回かパウダーを滑っていると、気温が高くてしっとりと重たくなった新雪と、低温で乾燥したままの雪との違いに気付き始めます。ここまでは少し滑っていたら誰でも簡単に到達できる領域です。でもそれではワインを語る時に『このワインは赤ワインだね。』っていってるのと同じレベルです。パウダーも実はとっても奥が深く毎回毎回味が違います。この味の違いが判り始めると、この遊びがさらに面白くなると思います。ちなみに僕はワイン好きだけど全然詳しくありません。

サーファーが同じ波は二度と無いと言うのと同じでパウダーも同じものは無く、気温、日射、風、湿度などの条件により、同じ30cmのパウダーを滑るのにも滑り心地が変わります。そして時間と共に変化し続けます。パウダーフリークと雪国で暮らす雪掻きが日課の人々は、気温が低いと軽いパウダーで、気温が高くなると重い新雪になることを理解していて、今日のパウダーは軽いとか、重いって表現をします。もちろんその通りなのですが、滑り心地、フィーリングの話になると実はそれだけでは無く、いろんな要素が影響してきます。

すっごく寒い日に、今日の雪はちょっと重いなと感じる事もあります。風を伴う降雪や降雪後風が吹き、一度積もった雪が移動したりすると積雪内の雪の密度が高くなり、滑ると重たく感じます。ガイドの間では高密度なパウダーなんて言い方をします。密度が高いので当然重たく感じるわけです。この現象を理解すると、今まで吹き溜まりのパウダーって言葉にワクワクしていた人も、『吹き溜まり』と聞いてネガティブな印象を受けます。高密度なパウダーなんじゃないかと。風はパウダーの味にとても大きな影響を与える要素です。

反対に低密度なパウダーとは、イメージし易いのが雪印のロゴマークみたいな枝が出た綺麗な結晶の雪が降って来て、それがそのまま積もると積雪内に空気が沢山入り、フッワフワの気持ちいい低密度パウダーになります。でもそんな気持ちいい低密度パウダーも時間とともに変化します。雪の結晶は例外もあるけど、基本的に球形化していくので、次第に積雪の密度も強度も増します。気温が高ければ、その変化のスピードが速く、気温が低ければ低いほどゆっくりと変化します。滑るタイミングによってまた味も変わります。

積雪内のどの部分がどんな密度なのかも滑り心地に大きく影響します。風や日射の影響を受けにくい場所なら、大体は深い場所ほど密度が高くなりますが、これが滑走には理想的だと思います。

降雪中の滑走では気温が高くて水分量が多い雪が降っていたとしても、滑るとオーバヘッドのスプレーも舞うし、そんなに重く感じなくて快適な滑走を楽しめたりって事もあります。ところが降雪が止んだ途端に、急に重く感じ始めたりします。これは積雪が沈降し、積雪内の密度が増して行くスピード以上に降雪のペースが早い時などに見られ降雪が止むと、沈降するペースが勝るために重く感じます。

50cmのパウダーデイに強風でリフトが終日運休。その夜更に20cm積もって、きっと次の日は2日分の70cmパウダーだと期待して朝一のリフトに並んでファーストトラックを狙ったのに、実際滑ったらスキーが10cmぐらいしか沈まなかったって経験あります?雪は変化するのです。

じゃあ、やっぱり雪は鮮度が肝心なのか。と言いたいところですが、そうとも限りません。ここからは完全に好みの話なのですが、僕はスキーが走らないパウダーがあまり好きではなくて、パウダーを語る時に深さで良し悪しを判断しません。同じ30cmのパウダーでも板が走る30cmと走らない30cmがあります。見た目同じようなバフバフのパウダーでも、パウダーの上でスキーがフレックスするのを感じられるようなパウダーを追い求めています。低温で風の影響を受けずにゆっくりと雪が沈降して行く、その瞬間を滑るのが好きです。ハイシーズンの白馬エリアで、低温が続く時期では、昨日より今日の方が板が走って気持ちいいって事もよくあります。北海道や北米の内陸などでは雪が止んで4日後が一番良かった事もあります。

パウダーとの出会いは一期一会なので、その時に出会えたパウダーをよく味わい、全力で楽しんでください。そして誰しも望む事ですが、できるだけ沢山のパウダーを滑りましょう。たくさん滑れば滑る程、その違いに気付くはずです。バックカントリーなら登っている時や休憩する時に、この雪で、どんな滑り心地が得られるのか、雪を観察してみると面白いんじゃないでしょうか。それはパウダーグルメになる為だけでなく、安全に行動する為にも。雪の密度や沈降、変化のペース、風や日射の当たり方を観察することは雪崩の危険度を知る上でとても重要な観察でもあります。

早く滑りたいですね。シーズンインしている人も結構いるようですが、僕は後一週間ぐらいでシーズンインかな。雪のこと書いてたら早く滑りたくなりました。いよいよですね。

古瀬和哉

 

白馬で LOCUS GUIDE SERVICE(ローカスガイドサービス)というガイド会社を経営し、バックカントリースキー、スノーボードのガイドをしています。

それと同時にバックカントリーで、より満足する為の滑走技術の向上を目的としたスキーレッスンやセッションをゲレンデで開催しています。

ぜひ一度、雪上での素晴らしい時間をライブで共に体験しましょう。

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